相棒の宇宙飛行士の宇宙服に穴が空いたんです。「手袋に穴が空いている」という報告があって。
そうすると、もしそこから空気漏れが激しくなると酸素がなくなっちゃうので、まさに生死の危険があると。
一緒に出ている宇宙飛行士の命の残り時間がどんどん減っているというプレッシャーのもとで、まさしくその命というのが、どう捉えようと必ず有限のものであり、その有限なリソースをどうやって有意義に使っていくか。(中略)
僕は宇宙飛行は全部引き算だと思っているんですよ。地上にいるときから徐々に引き算していくのが宇宙だと思っているんですけど。ロケットに乗って離れたとたん、家族とはもう会えないとか色んなものも食べられなくなる。
で、そこから更に引き算されて、船外活動の間はそれがまさに目に見えるかたちで、僕の相棒の残り時間は6時間半、僕は7時間というような感じで、全部自分の背中に背負っているリソースだけで生かされているわけです。
それは地上に戻って来ても実は一緒なんですよね。
それが40年先か、4時間先かだけの違いで、そういう意味で生かされていることの大切さと、残されているリソースをいかに大事にするのかという、そういう感覚は凄くあります。
で、まさに手が触れる死の世界。野口聡一(宇宙飛行士)
そういう感覚っていうのは、やはり僕にとっても宇宙体験の本質だと。
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